WordPress(以下「WP」と表記します)サイトの表示速度は、サーバーの性能や機能、WPテーマ・テンプレート、利用プラグイン、画像やJavaScriptなどのコンテンツ仕様によって影響を受けます。

レンタルサーバーを簡単に乗り換えるのは難しいですし、WPテーマ・テンプレートを変更するのは大掛かりな作業に発展しかねません。しかし高速表示を実現するためにWPテーマ・テンプレートを変更することは、とても有効です。なぜなら、WEBサイトのデザインや表現機能、JavaScriptやCSSなどは、すべてこのWPテーマ・テンプレートの仕様によって決まってくるからです。

しかし、これを行うとなると、もはやそれはホームページのリニューアル。そんな大掛かりな作業は後回しにして、簡単にできることから検証してみたいと思います。

指し棒(左)

そこで、今回取り上げるのは無料プラグインの「Jetpack」。

Jetpackには約40種類の機能を備えた人気のプラグインなのですが、デフォルト設定のままだと、余計な機能まで有効になっていたりします。プラグインがサイトの表示速度に影響を及ぼすことは多々ありますので、まずは、このJetpackの機能を必要最低限に絞り、高速表示への貢献度を検証してみたいと思います。

Jetpackが持つそれぞれの機能に関しても記述していきますので、参考にしてみてください。

本サイトのデフォルト仕様とWordPress高速表示テストの測定結果はこちらの記事を参照してください。

Jetpackには、余計な機能がてんこ盛り

Jetpackには、40ほどの機能があって一般的にはあまり必要のない機能や、既にWPテーマ・テンプレートで対応している機能、運営方針によっては必要ない機能などがあります。WEBサイトのカスタマイズを行うための機能もありますので、ホームページの制作を外部に依頼している場合は、制作会社と協力しながら、Jetpackの余計な機能をOFFにしてみてください。

この記事では、管理画面に表示される順で解説していきたいと思います。

【Beautiful Math】この機能は『LaTeX logo』という、複雑な方程式や数式を入力するのに適したパワフルなマークアップ言語を利用する時に必要な機能です。数学関連のサイトや工学関連のサイト以外には必要ないのでOFFにします。

【Gravatar ホバーカード】は、WordPress.comアカウントと連携してユーザープロフィール画像を掲載させる機能です。コメントを募集し閲覧者とコミュニケーションをはかる場合は、利用した方が良いでしょうが、コメントを募集しない場合はもちろんコメントが付いていない場合などは、機能をOFFにしても問題ないでしょう。コメントでのやり取りが盛んになってきてから「ON」に切り替えても良いでしょうが、この場合は、コメントが盛り上がった記事に小さなプロフィール画像がたくさん並ぶようになるので、それだけ、そのページは重くなります。そのように発展したら画像のキャッシュなどを利用し、軽量化をプラスする必要が出てきます。

【JSON API】の説明には次のような記載がされています。

『Jetpack は、アプリケーションやサービスが安全にサイトと通信し、新しい方法でサイト上のコンテンツを活用したり、追加機能を提供したりできるようにします。開発者は WordPress.com の OAuth2 認証システムおよび WordPress.com REST API を使ってサイトのコンテンツへのアクセス・管理ができます。』

APIを使ったプログラムをサイトに導入していないのならOFFで問題ありません。

【Markdown】
複雑なコードやショートカットを覚えることなく、キーボードのみを使ってすばやく簡単にリッチテキストを書くための機能ですが、HTMLのコードを覚えないで良い代わりにMarkdownの記述方法を覚える必要があります。

また、HTMLのそれぞれの要素には意味合いがありますので、どうせ覚えるのならHTMLの基本を覚えられることをお勧めしています。そうでないと、検索エンジン最適化を行おうと思っても、これらに関する情報はHTMLで発信されますので、毎回脳内でMarkdownに変換して考えなきゃなりませんので面倒だとおもいます。

このサイトでは初めから「OFF」でしたので、そのまま「OFF」を維持しました。

【Photon】
WordPress.comのCDN (コンテンツ・デリバリー・ネットワーク) から画像を読み込ませるキャッシュ系機能で、WordPressの高速化に貢献するプラグインです。しかし、WPテーマ・テンプレートとの相性によっては、この機能を有効化すると画像の大きさがWPテーマ・テンプレートによって調整されている場合、サイズはそのままで見切れた画像などが埋め込まれる場合がありますので注意が必要です。Google PageSpeed Insightsで指摘された『画像の最適化』を行ってもまだ尚、遅い場合だけ利用されることをお勧めします。








【VideoPress】
この機能は動画に関するものなのですが有効にして利用するためにはVideoPress サブスクリプションを購入する必要があります。YouTubeやVimeoがあるのに、なぜ、わざわざ高額で人気の劣るVideoPressを利用しないといけないのかが私には理解できません。(動画SNSの利用は、動画の利用目的によって使い分けることをお勧めしています)

【WP.me 短縮リンク】
Twitterなどの文字制限のあるSNSに投稿する場合には短縮URLがあると便利ですが、ただそれだけの機能ですので特に必要ないでしょう。

【いいね】
実はWordPress.comはSNS的な機能を持っています。日本人で知っている人は結構マニアかもしれませんね。WordPress関連のお仕事をしている人同士なら、このSNSで交流が深まるかもしれませんが、私は参加していませんので「OFF」。

【ウィジェット表示管理】
ウィジェット(簡単に言うとサイドバーのことですね。フッターにも使えますが…)をページ毎に違うものを利用したい場合には有効な機能です。しかしWPテーマ・テンプレートにこの機能が実装されていたり、必要ない人は「OFF」で良いでしょう。サイドバーウィジェットをページ毎やカテゴリー毎に使い分けるのはSEO的にもユーザービリティ的にも有効ですので、必要に応じて有効化してください。

このサイトでは、今現在の記事数が少ないので利用していません。(2017年のサイトリニューアルの際にJetpack自体を利用しなくなりました)

【カスタム CSS】
WPテーマ・テンプレート自体のCSSを直接書き換えてしまうと、WPテーマ・テンプレートのバージョンアップが行われた際などに、全て元に戻ってしまいます。こういったWPテーマ・テンプレートのバージョンアップリスクを避けるために「子テーマ」というものを使ってカスタマイズしていくのですが、この「子テーマ」を利用するためにはCSS・ファイルが必須ですので、Jetpackの【カスタム CSS】は、必要ない機能と言えますね。

【カスタム投稿タイプ】
ポートフォリオや推薦文といったJetpackが用意したページテンプレートを利用する際に有効化する機能です。WPテーマ・テンプレートで実装されていることも多いですし、この機能の取り扱いに関しては制作会社に確認してから行ってください。

【サイト統計情報】
WordPressのダッシュボードで見ることもできるアクセス解析です。Google Analyticsを導入していたら必要ないんじゃない?という人もいらっしゃいますが、Google Analyticsとは異なった分析も可能になりますので利用をお勧めしています。

【サイト認証】
Google サーチコンソールなどと連携する際に必要な認証コードを非表示にするための機能のようです。弊社の場合はGSC(Google サーチ コンソール)との連携はGA(Google Analytics)アカウントで認証を取るようにしていますし、GAはGT(Google タグマネジャ)で機能させていますので、Jetpackのこの機能は、必要ない機能となります。

【ショートコード埋め込み】
「ショートコード」とは、あらかじめ登録されているプログラムを呼び出すために準備された『短めのコード』のことです。外部メディアをサイトに埋め込む際に用いるもののようですが、近年では、それぞれの外部メディア側で短い埋め込みコードを生成してくれますので、それほど必要のない機能です。制作会社によっては、この機能を使い運営者にショートコードを覚えてもらってホームページの運用を楽にする工夫をしているところもあります。

私たちは、ショートコードすら覚えずに「どのボタンをクリックすれば、どんな機能が呼び出せるのか」だけを覚えていただくようにしています。

【スペルと文法】
英語のスペルチェック機能です。このサイトではOFFにしています。

【パブリサイズ】
FacebookやTwitterにブログ記事の投稿と同時に自動投稿させる機能です。一見便利なようにも見えますが、SEO的にマイナスな面もありますので、ご注意ください。詳しくはこちらの著書を参考にしてください。

【プロテクト】
クラウドベースのブルートフォース攻撃防止ツール。短時間で1つのIPによる試行の失敗が多数あった場合、このプラグインがインストールされているすべてのサイトへのログインをブロックしてくれます。ご自身のIPアドレスはホワイトリストに登録できますので、ブロックの対象には含まれなくなります。設定画面であなたのIPアドレスを表示してくれるので、直に設定できます。

【メール投稿】
メールで記事を投稿しない人には必要ありません。

【モニター】
WEBサイトの障害などをメールで通知してくれる機能です。特にサイトが表示されなくなっている場合などの通知は助かります。しかし、毎日のようにWordPressサイトの管理画面にログインしている人は、必要ないかもしれませんね。私の場合はPCから離れることが時折あるのと、そう言った場合に何時から何時までの間、ダウンしていたのかを記録するためにONにしています。

【一括検索】
ブログ記事や固定ページの修正を行ったりする場合に便利な機能です。必要な時にだけ「ON」にしても良いでしょう。文言の入れ替えや修正をサイト全体で行う場合は、プラグインの『Search Regex』が便利です。

【共有】
FacebookやTwitter、Google+などの共有ボタンを表示させる機能です。ページの予期込み時間に影響を与える機能ですが、サイトの運営方針によってはONにするかOFFにするのか悩ましいところです。今回の検証では、「ON」「OFF」の両方で計測してみたいと思います。

【拡張配信】
機能の説明書きには次のような記載があります。Jetpack はブログで公開されたコンテンツを即時に検索エンジンなどのサードパーティサービスと自動で共有します。これにより、リーチやトラフィックの増加につながります。この記述を信じて「ON」にしてみましょう。しかし、「OFF」にした場合も計測してみます。なぜかと言うと、トラフィックが増えても表示速度が遅く、遮断されてしまっては意味がないからです。

【無限スクロール】
この機能はWPテーマ・テンプレートで利用可能な場合だけ機能します。複数ページで構成される記事など、ページの下部にある次のページヘのリンクをクリックし、ロードされるまで待たせるのではなく、無限スクロール機能は読者がページの下部に近づくとアプリのように続きの投稿を自動的に表示ざせる機能です。複数ページにまたがる記事を頻繁に書かない人には無用の機能でしょう。

【購読】
ブログの更新通知を読者にメールでお知らせする登録フォームの設置と登録者に更新通知を配信してくれる機能です。ブログの更新通知をメールマガジンなどで行っていない人なら有効にしても良いかもしれません。

【追加サイドバーウィジェット】
Jetpackが準備したオリジナルウィジェットを利用する際に有効化します。例えばFacebookページやTwitterのタイムラインを表示させるウィジェットだったり閲覧数をカウントし人気の記事をランキング形式で表示してくれるウィジェットなどがあります。「楽しい機能」ですが、弊社は使いません。

【通知】
WordPress.comのSNSサービスに関する機能です。参加していない場合はOFF

【関連投稿】
ブログ記事の最下部に関連記事を掲載させるものです。これはぜひ、「ON」にしておきたい機能ですね。ただし、設定項目やカスタマイズを行う場合にはJetpackのソースコード自体をカスタマイズしなければならないため、状況によっては別のプラグインを利用されることをお勧めします。

【集中管理】複数のワードプレスサイトを運営している人に有効な機能です。WordPress.com内の管理画面で複数のワードプレスサイトを一括管理することができます。面倒なプラグインのバージョンアップなども自動で更新してくれますので、とてもおすすめです。

【データバックアップ】
有料のデータバックアップ機能ですね。無料のバックアッププラグインもありますし、レンタルサーバーによっては定期的にバックアップを取得してくれるサービスもあります。不正改ざんやマルウェアが侵入した際などにバックアップファイルは重要になってきますので、必ず、何かしらの方法でバックアップファイルは管理するようにしてください。

悩ましい機能をONとOFFで比較測定

サイト公開時にJetpackの初期設定で有効化及び設定まで完了していた19の機能を整理して、8機能まで削減しました。悩ましい機能はSNS関連の機能。この機能をひとつずつ「ON」と「OFF」で比較していきます。

まずは、Jetpackの悩ましい機能を全て「ON」にした状態での計測結果です。

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公開時の計測結果と比べるとPageSpeed Insightsは、モバイルで2ポイントパソコンでは5ポイントマイナスだったのに対して、GTmatrixでは、PageSpeed Scoreで75%だったのが83%に改善されたものの、その他の項目で大幅なダウンとなってしまいました。Page Load Timeは計測のたびに異なりますが、何度か計測した結果平均8秒程度だったので遅すぎです。

では、【共有】機能の中からボタン表示の設定で「フロントページ」を削除してみましょう。

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トップページに掲載している「最新記事」に表示されるSNSボタンの表示を削除すると、PageSpeed Insightsでは大幅な改善が見られ、公開時よりも3ポイント改善できました。

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GTmatrixに関しては、PageSpeed Scoreが6%ダウンしていますが、その他の項目では全て改善されています。公開時の測定値と比べると全ての数値で改善が見られます。
続いて、『拡張配信』(Googleなどの検索エンジンへの更新通知)をOFFしてみましょう。

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Googleなどの検索エンジンにブログの更新通知を行う『拡張配信』の機能を「OFF」にすると、GPSIではモバイルで4ポイントダウン、パソコンで1ポイントプラスという結果になりました。しかし、何度か測定し直すと51・63といった数値を出すこともありました。どちらにしても、WordPressの表示速度改善で気にしなければならないのはモバイル環境下での表示速度です。加えて機能をOFFにすると表示速度に対してもマイナス影響になるのなら、「ON」にしない選択はありません。

最後に、SNSボタンのトップページでの掲載は「OFF」にし、拡張配信を「ON」。これに加え画像キャッシュ系の機能「Photon」を有効にして計測してみましょう。

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「WordPressの高速化に貢献するプラグインなのです」と謳われている【Photon】ですが、計測の結果は、GTmatrixのPageSpeed ScoreとPage Load Timeでは、良い数値を出していますが、GTのPage Load Timeには計測のたびに数秒ブレます。何度か計測して平均値を出すと、公開時に測定した4.4sとほとんど変わらない値となりました。GPSIに関しても公開時の設定から+1のみ。【Photon】有効前と比べると2ポイントずつのダウンという結果でした。

Jetpackの余計な機能のひとつに【Photon】

今回、お名前.com共用サーバーで行ったJetpack最適化では、機能内容と合わせWordPress高速表示の改善策として、サイト統計情報、プロテクト、モニター、共有(トップページへの掲載無し)、拡張配信、購読、関連投稿、集中管理の8機能を有効にしました。公開時の設定からWP高速化への貢献度としては、GPSIで3ポイントずつの改善、GTの測定値では全ての項目で改善が見られました。

そして、インターネット上でよく見られる【Photon】の影響力ですが、他のサーバーでも検証しなければなりませんが、少なくてもお名前.com共用サーバーでは、マイナス効果でしかないということが判明しました。次回は「Photon」が有効だと言われる、画像の多いページでの検証結果をご紹介します。